りんごを剥く手


あんなに泣いてた
お母さんは、
次の日笑って入ってきた。
本当は、

私死ぬんだよね。

そう聞きたかったのに、
そんな笑顔でいられたら
聞けないよ...。
でも聞く
必要なんて無かった。
緩やかに私は
弱っていったし
手術は
増えるばかりだったから。


嘘が下手なら
がんばって
嘘なんかついて
欲しくなかった。


私、凄く寂しかった。

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