りんごを剥く手


「大丈夫??
もう怖くないよ。
驚かせてごめんね??
だから泣き止んで??」


そういって
初対面の子の背中を
さすってくれちゃうくらい
優しい。



夏帆さんは
とびきり優しい人だった。


非の打ち所がないとは
このことだ。
神は二物を
与えないんじゃなかったっけ??この人は何個
貰ってるんですか。


こんなに優しい声で
諭されて、
私の行きどころのない
この多くの疑問は
どうしたらいいのか。


今でさえ
わからないんだから、
この時わかるはずもなく、
その日はただただ
なくばかりだった。



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