りんごを剥く手


「私もね、
ここの病院にいたの。」


「えっ...」


「病気だったんだぁ。
結構治らない系の。
でも、今は平気よ??」


ほら


そう言って両腕で
ガッツポーズした。


私は頷いた。
当時の夏帆さんと
同じ状況にいることに
気づかないフリをして。


「で、その時
病室で会ったのがダーリン。
私と同じ病室に友達が
入院してて、
話すようになったの。」


楽しかったぁ


そう小さな声で
つぶやいたのすら
ガッツリ聞こえた。

それ位集中していた。
あなたのことなら、
たとえ夏帆さんが
情報源だとしても
一言だって
聞き逃したくなかった。


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