りんごを剥く手

一筋涙が流れた。
だって
突然ドアが開いたから。
開いたドアの先には、
見間違えようもない
あなた。

あぁ、やっぱり素敵。
似合ってるよ、
タキシード。
病室には、
不釣り合いだけど。



「久しぶり」


少し掠れた声。


「そのままきたの??」


「ん。」


もう二度と聞けないと
思ったあなたの癖。


「りんご、食べる??」


夢にまでみた愛しい光景。


「うん。」


優しい手、器用な手。


「ん。」


甘酸っぱい...
やっぱり私
あなたがくれた
りんごが一番好き。


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