武士道絵巻

第一章

葉陰一族という、一族があった。


葉陰一族は桜緑の里(おうりょくのさと)をおさめていた。


そんな葉陰一族には、一人の男の子がいた。

名前は葉陰りく。
まだ、遊び盛りで好奇心旺盛だった。

それでもりくは町に行くことを許されなかった。

葉陰一族は強い一族であるが故に、敵にされやすい。

りくは、後継者なのでますます、狙われやすいからだ。



そんなある日、外出が許可された。

父上である、利行がりくに町を知ってほしかったからという理由で。

「利行様、りくを行かせても大丈夫なのでしょうか?」

母上――雪――が心配そうに問いかけた。


「りくにも、町を見せたほうがいいだろ。それにあいつも男だ。ちゃんと守りの術もかけるから、心配するな。」


お雪も、そうですねと納得した。

「それでは、りく。
気をつけて行くのですよ。」


「はい!母上!!」


町に行けることがうれしくて、りくは落ち着かない様子だった。


「絶対、危険な所には行かないように。」


「分かってます!それでは行ってまいります!」


りくは弾む気持ちで町にでかけた。




< 4 / 12 >

この作品をシェア

pagetop