もしも願いが叶うなら

それからのしばらくは
すごく慌ただしくて
全部が事務的に過ぎて行って
なんだか嘘みたいだった


悠くんは葬儀屋の人にも
葬儀に来てくれた人にも
いつになく真面目な顔で
たまに笑顔を見せたりもしつつ
しっかりと対応していた

泣いたり喚いたりする時間なんて
きっと一瞬だってなかったのに
悠くんはずっと落ち着いていた。


それに比べてあたしは
全部が終わるまでずっと目が死んでいた


何もみたくなかった
何も聞きたくなかった
何も知りたくなかった
何も受け入れたくなかった

全部を拒否したかった


だけど悠くんのことだけは
ずっと見ていた

悠くんはお母さんが大好きだったから
辛くないはずなんてないんだから
あたしが支えないとって
弱った心で、なぜか強く思ってた。



だけど悠くんは強かった
支えられたのは、あたしの方だった





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