もしも願いが叶うなら

「うん。悲しみを誰かや自分にぶつけて発散しちゃいけない。それは弱い人間のすることだ。さっきも言ったよね?事実は変えられない。」

「お母さんは死んだ。」



「事実はもう受け止めるしかないんだよ。無理なら開き直ったっていい。負けちゃダメだ。」



悠くんの真面目な話を聞くのは
物凄く久しぶりだった。
いつも困ったときの相談は
お母さんにしていたから。


「さっちゃん、分かったか?」



「うん!」










「なんで桜って名前にしたか、幸から聞いたことある?」


え?

「知らない。」


「花みたいに笑う子になるようにって、幸が付けたんだよ。」


「お母さんが..。」


「なんで桜なんだって聞いたらさ、1番大きくて立派できれいだからって、ベタ褒めだったよ。俺も桜好きだったから賛成だったけど。」


「そうなんだ」

あたしは少し笑って言った。

「これからはさ、幸の分も笑って暮らそう。罪悪感はそうやって明るく発散していこう。」



「うん」







あのとき悠くんが話してくれなかったら
あたしはずっと暗いままだった。


いつも馬鹿にしたり
冷たくしたりしてるけど
あたしは実は結構悠くんを尊敬している
調子に乗るから、絶対口には出さないけどね



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