もしも願いが叶うなら
「まだ11時だけど、ちょっとドライブしながら美味そうな店探そう。」
「うん。」
「てか、遮っちゃってごめんね。さっちゃんは毎年、幸に長々と話すね〜、俺の悪口?」
「うん。」
あたしは満面の笑みを作り即答した
悠くんが遮らなかったら
きっとあたしは泣いていた。
去年も一昨年も、悠くんは
あたしが泣きそうになると
ご飯を理由に絡んでくる。
なんで分かるのか、
3度目でも分からなかった。
「ひっど〜、そりゃご飯とか任せっきりなのは悪いけど、でもさ〜」
またぶつぶつ言い出したので
あたしは軽くあしらった。
てか悠くんの作るご飯は
食べ物にはならない。
どう作ったらそうなるの?
てくらい未知の物体になる。
「なんかお腹空いてきた。」
「行くか。何食べたい?」
「ハンバーグ。目玉焼きのってるやつ。」
あたしは即答した。
「さっちゃんもまだまだ子供だな〜」
悠くんはそう言って笑った。
「高2の娘が食後のコーヒーを飲んでる前で、チョコレートパフェを幸せそうに食べてるおっさんの方が、子供だと思います。」
またあたしは満面の笑みで
早口で即答した。
「おっさんって〜、まぁおっさんだけど」
悠くんは今年で40になる。
だけどまだギリギリ、
28くらいなら通るんじゃないかな。
娘のあたしから見ても悠くんは
若くてかっこいい。
まぁ絶対口には出さないけど。