もしも願いが叶うなら
「まぁ何もないんだけど。」
あたしはマジでキレる5秒前だった。
「桜さん。コーヒーおかわり頼みますか?」
それを雰囲気で悟った悠くんは
焦って機嫌を取ってきた。
「何で隠すの〜?」
あたしは少しむっとした顔で聞いた
「....隠すってか、普通過ぎて話すことがないんだよ。」
「普通って?」
「幸から出会いとか聞いてるだろ?大学で同じ専攻だったから仲良くなって、ごく普通の恋愛だったよ。」
「お母さんのどこを好きになったの?」
あたしが一番気になってたのはこれだ。
正直、悠くんは顔も頭も良い。
昔からものすごーくモテたらしい。
なのに何で自分を選んだんだろうって
お母さんがよく言っていた。
だからずっと気になっていた。
「どこ?..全部かな。」
「えっ全部?」
「いや、悪いとこもあったよ。でもそれも含めて許し合えたっていうか、受け止められたっていうか。」
良いことを聞いたけど
あんまり答えにはなっていない。
「じゃー好きになったきっかけは?悠くんから言ったんだよね?」
「きっかけ~?..なんか人を建前で判断しないやつだな〜って思って、そっから何か幸のこと知りたくなって、遊んだり飯食ったりしてる内に、気付いたら〜」
ちょっと照れくさそうに悠くんは言った。
「なんか恥ずかしいんだけどっもう出よう」
そう言って立ち上がり
悠くんは早足で会計に行った。