もしも願いが叶うなら


騒いでる悠くんの声に
適当に相槌を打ちながら
ご飯を食べ終わり、
行く準備をしに部屋に戻った。



ちゃんと悠くんの箱も開けてみた
中身はクローバーのネックレスで
けっこう可愛いかった。

ネックレスで2000円は高いに入るなって
冷たくしたことをちょっと反省した
ちゃんと付けて、鞄を持って
玄関に向かった。





「桜、はい!お弁当。」


忘れて出ていくところだった。


「ありがとう!..悠くんは?」


「トイレ行ったよ。なんかブツブツ言いながら。」

「そっか。ネックレスありがとうって言っといて。」

ちょっと照れくさそうにあたしは言った。


「りょーかい。演奏会10時からだよね?ちゃんと見に行くから、頑張ってね!」

演奏会は朝からだから
悠くんは仕事で来れないけど
お母さんはパートを休んでいた。

「行ってらっしゃい!」

「行ってきま~す!!」


これがあたしとお母さんの
最後の会話だった。

最後に見た顔が笑顔だったことは
何ていうか、不幸中の幸いだったと
今でも思う。

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