私は嘘で出来ている。
「市河さん、今日六時だよ」


すれ違い様に、残していった。


大学で初めて有本君から声を掛けられたのに。


京也を見る時と同じようには私を見てくれないんだね。


例えば私が男だったら。


恋愛対象になったのかな。


「デート!?やっぱり乗り換えたんじゃない」


詩乃が興奮気味に言った。


「違うよ。あの人、好きな人いるんだ」


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