私は嘘で出来ている。

見上げると、まだ青い色を残した空に浮かんでいた月と視線が合った。


存在を思い出したのは何年振りだろう。


右へ行っても左へ行っても、彼の監視下を逃れることは出来ない。


月が嘲笑った。


まるで全ての答えを知っているかのように。




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