私は嘘で出来ている。
「ねぇガァちゃん、今日はちょっと聞いて貰いたいんだけど」


その時、私は新菜の代わりにコーヒーを煎れていた。


新菜はあの日以来、有本君の姿でいることが多かった。


「何?」


「こっち来て座って」


「まだコーヒー…」


「いいから」


こんなに強引なのは珍しい。


私はそれに従った。


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