私は嘘で出来ている。
「一緒に暮らしてたんだもの。分かってたわよ。いつかこんな日が来るんじゃないかってね」


新菜がフニャッと泣き出した。


「それにしても綺麗ねぇ。お化粧もするんでしょ?進ちゃんが立派なニューハーフさんになって嬉しいわ。夢だったんでしょう?」


「はい…」


新菜は何度も頷いていた。


そう、女性になることは夢だったんだ。


夢を現実にさせたのは採用した私。


今、邪魔しているのも。


私。


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