私は嘘で出来ている。
「僕…もうコソコソしたくないんです」


テーブルに飾ってあった薔薇が、揺れた。


「女の子になりたいのに、男のフリしてた。先生にも嘘ついてた。でも、女の子の格好してても、女の子のフリしてる男なだけで。それも世間に嘘をついてることだって感じた。男にも女にもなれなかった。自分がどこにあるのか分からなくなった。それが辛くて…怖くて…」


嗚咽が混じり始めた。


私の心臓が潰れてしまいそうになった。


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