私は嘘で出来ている。
「だから…もう誰にも嘘つきたくない。ちゃんと、正真正銘の女になりたい…。進とさよならしたい…」


部屋には、新菜の泣き声だけが響いていた。


新菜の決意と涙を受け止められるほどの余裕を、私は持ち合わせてはいなかった。


オカマのことを分かったつもりで何も分かっていなかった。


分かったような口をきいていた自分が恥ずかしくなるくらい。


性と戦うその姿を、今やっと見た気がした。


でも、この想いを断ち切る自信なんかない。


好きなんだもん…。



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