私は嘘で出来ている。
「ねぇ、ガァ子ちゃん。新菜ちゃん辛いみたいよ。マリモさんが和室に付いて行ってるけど」


ナンバーワンのキャシーさんが耳打ちしてきた。


「マリモが付いてちゃ仕事にならないでしょ。ガァ子アンタ交代しなさい」


地獄耳のママに小突かれ、様子を見に行くと、座布団を枕にして新菜ちゃんが横になっていた。


「マリモさん、私やるから」


「そう?じゃあ頼んだわね」


マリモさんが出て行った後、私は冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。


「はい、お水」


身体を起こして、ありがとう、と彼女は言った。


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