私は嘘で出来ている。
「でもガァちゃんは、西神君と付き合ってたこと私に教えてくれたわ」


「でも黙ってるつもりだったんだよ…」


「それでも結局は自分の口で私に伝えてくれたわ」


新菜の身体はやっぱり熱っぽくて、いつか塗ってくれたボディーローションの香りがした。


「確かに西神君は傷つけたかもしれない。でも私に本当のこと言ってくれたのは進歩よ。確実に前進してる。大丈夫、これからは正直者になれるわ」


新菜が頭を撫でてくれた。


なれるかな。


私も、新菜みたいに真っ直ぐになれるかな。


「まず、私との間に秘密を作るのはやめましょ」


「うん」


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