恋時雨
笑顔
真夏の照りつける太陽が、汗を流させる。

バテて倒れる者がでる中で、せっせと働く男たち。

烏帽子から、タラリと汗を滝のように流しながら、たくさんの書物を運んでいる。

「しかし、安時(ヤストキ)はよく働いてくれる」

簾(スダレ)の向こうから聞こえる、男性二人の声。

一人は、低く太い中年の声。
もう一人は、少し高めの優しい声。


「安時殿は真面目ですからねぇ。僕よりも若いというのに、よくあこまで頑張れますねぇ…」

若い男の名は、隆教(タカノリ)。

「何をいうか!お前とて、よく働いてくれる」

中年の男は、わっはっはと笑ってみせた。
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