恋時雨
「分かった。行こう」

安時は、いつもの爽やかな笑顔で言った。

「約束ですよ…」

初香は、そう呟いた。
刹那ーー…。


安時の唇が、初香の唇目掛けて降ってきた。


「約束」

そう言うと、安時は初香の小指に自分の小指を絡ませ、また口づけをした。


「…安時様。嬉しいです」

そして、都を出て行ったのだった。
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