恋時雨
とめどなく流れる涙は、しばらく止まることなく流れ続けていた。

「ーー…初香。幸せに、どうか幸せに…」

最後に文を書いて、初香に届けた。

初香は読んでくれただろうか。

安時の、精一杯の気持ちを。

幸せになってほしいという、ただただ小さな願いを。


「安時殿、文を持って参りました」

「…あぁ」








『私は、とても幸せです。

まだ、安時様のことが忘れられず、涙を流す日もありますが、大丈夫ですよ。
安時様こそ、どうかお幸せに。

安時様は、泣いてないですよね。
泣いてちゃ…美しい顔が台無しですよ。』
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