はつ恋
佳祐の親もうちの両親も呆れた顔をしている。


家に着き母に着物を脱がしてと頼むと、「今から父さんと出掛けるから、自分でやりなさい。」と言われた。


嘘自分では脱げないでしょと母を見たら、もう出掛けてしまった。


私は自分の部屋に行き、鏡の前で、まず帯をほどこうと手を後ろに回した。


たけど手が届かない。きつく絞めてあるから、びくともしない。


このままこの格好でいなくちゃいけないの?


もうどうにも慣れと思ってると、佳祐が部屋に入って来た。佳祐はもう着替えてラフな格好をしている。


「亜子何でまだ着物来てるの?」


「だって母さんたち出掛けちゃって、自分で脱ぎなさいなんて言うんだから。」

佳祐がにやっとなり私のそばに来た。「亜子逃がしてって言ってみて。」


佳祐今どんな顔して、その言葉言ってるの。佳祐の顔が見れない。



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