はつ恋
私が顔を上げた時、佳祐と目が合ってしまった。



その目は亜子なんだな。と言ってるように思えた。



私は今笑っているのか?泣いているのかさえも分からない。



とにかく教室から出たかった。



私はいきなり立ち上がり「あのすみません。気分が悪いので保健室へ行っていいですか?」



一瞬佳祐が困ったような顔をしたのが分かった。



私は佳祐の返事を待たずに教室を出た。



光太が後を追って来た。



「亜子大丈夫か?俺も一緒にいくから。」



「大丈夫だよ光太教室に戻って。」



光太がしぶしぶ戻って行ったかと思ったら、今度は佳祐が来た。



「亜子大丈夫か?」



何で来るの?私はあなたから逃げたいのに来ないでよ。



私は走った。でも佳祐の足は早くすぐに捕ってしまった。



「何故逃げる?俺を避けるのか亜子?」



「離してよ佳祐なんかに会いたくなかったよ。」
涙が止まらなかった。



又あの時の場面を思いだす。



苦しい胸がうまく息ができない。佳祐が私を抱きかかえ保健室へ走った。


養護の先生は、私のいつもの発作過呼吸の処置の仕方を知っていた。



慌てる佳祐に「大丈夫ですから先生落ち着ついて下さい。」と言っている。



私は大きく息を吸いだいぶ楽になった。



私は佳祐に「もう平気だから教室へ戻って。」と言った。



佳祐は昔と同じように、私のおでこを触り教室へ戻って行った。



優しくしないでよ。と私は思いながら佳祐の後ろ姿を見ていた。



養護の先生が「少し眠ると楽になるよ。」と言ってくれたのて゛、そっと目を閉じてみた。



いつもなら中々眠れない私なのに、久しぶりに深い眠りに就くことが出来た。



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