Star Dust ~星のカケラ~
「ったく。何がよろしくだ」


「いいじゃん。ロサリーらしくて。それにレイも心配なんだろ、あのこ」


『薬草買い付けにいくのでユズのことよろしくね』


今朝方官舎に届いた鳩便。

その手紙を受け取り、仕事終りにこうやって馬を走らせている。


「ユズ?」


玄関の扉を開け中に声をかけるが反応はない。


「入るぞ」


中へ入っていく。寝室へと続く廊下にユズが倒れていた。


「ユズ」

起こした体は燃えるように熱い。

ユズを抱き上げ寝室へと運ぶとここまで一緒に来た親友の名を呼んだ。


「ジェシー」


「どうした?」


飄々とした声で声のする方へ入ってきたジェシーだったがベッドの上に寝かされたユズをみて目つきが変わる。


「カバンとって来る」


「頼む」


馬を飛ばし城まで戻ったジェシーは来たときとは倍の速さで戻ってきた。


カバンから道具を取り出し、ユズの体を診察していく。


「多分、ストレスと過労からくる風邪だな。慣れない環境での疲れがでたんだろう。熱が高いし、昨日今日体調を崩したって感じじゃないな」


「うっ」



小さく身じろぎしてベッドの中のユズが動いたと思うと薄っすらと瞳をあけた


「ユズ?」


「レ…イ?」


荒い呼吸をしながらレイの名を呼んだ。


「ユズちゃん?」


声の方に視線をやると見知らぬ顔


「初めましてかな?レイの友人のジェシー。一応軍医だから寝てる間に診察させてもらったけど、気分どう?今薬湯作ってくるけど…」


「…大丈夫。ありが…うございます」


横になっているのに眩暈がしてきてぎゅっと目を閉じた。



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