Star Dust ~星のカケラ~
「この瞳、魔法じゃないよな…」


ま、魔法ですか!?


日本生まれ日本育ちの私にそんなもの使えるわけないでしょ。


アッシュグリーンの瞳


小さい頃からのコンプレックスだった。


グランマが言うにはグランパの色らしいんだけど、写真も何もないから確かめられないんだよね。


普段はカラーコンタクトで黒に見せてるんだけど。


「生まれつきです」


明らかに年上であろう隊長に言葉が畏まる。


でも、なぜ?ここは?動揺は隠し切れない。


レイが慌てて枕元を離れ、ドア前で頭(こうべ)を垂れた。


「え?」


「申し訳ございません。王家の血を引く方とは知らず」


お、おうけ?な、何の話?混乱している頭はますます、ぐるぐると回り、思考能力を奪っていく。


「えーっと。頭を上げてください。わ、私、そんな王家の人間とかじゃないですから。日本で普通の両親から生まれて、グランマに育てられただけの普通の子ですし、この国?世界?自体来たことなかったですし、もちろん魔法なんて使えないですし」



慌ててレイの元に駆け寄って説明するが、自分でも理解していないせいか、言いたいことが言えない。


「いいえ。そういう訳には……。……魔法が使えない?」


「はい。だから王家の人間なんかじゃないです」


必死に首を横に振る。伝わったかな?


「……まさか。そんなわけ」


レイが立ち上がって燭台へと歩きながら呟く。


その瞬間、レイと呼ぶ声がしてノックなしに扉が私に向かって開いた。


「ふぎゃ」


間抜けな叫びと共に私は三度気を失った。




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