日だまり
「これあたし!森山!マイクマイク!」
「んじゃ俺タンバリンやっちゃう?」
「おー頼む!」
森山にタンバリンを託して、ノリノリで歌っていたあたしは、大事なことを忘れていた。
あたしがそれに気付いたのは間奏になった時だった。
間奏に入った時、ふと視線を感じてそっちに目を向けると、陽輝とばっちり目が合った。
わ…忘れてた!!!
陽輝がいたんだった!
なんて恥ずかしいっ…!
我に返ったあたしは、顔から火が出るほど恥ずかしくなり、顔がカーっと熱くなった。
未だにノリノリでタンバリンを叩いてる森山を見て、やめろ!と叫ぼうか本気で悩んだけど、そこは無言の蹴りをお見舞いしといた。
「いてーな!何すんだよ!」
「恥ずかしいだろーが!」
「は!?お前もさっきまでノリノリだったじゃねーか!」
「おまっ…それ言っちゃおしまいだろ!」
間奏が終わってからのあたしはノリノリの森山とは対称的に控え目に歌った。それでもまだ感じる陽輝からの視線に耐え切れなくなって、歌い終わったと同時に紗耶に抱き着いた。
「よーしよしよし。恥ずかしかったねー」
抱き合ってるあたし達を見て便乗した夏季も反対側から抱き着いてきた。
「藤井」
「あ…塚本くん」
その名前を聞いてガバっと顔を上げたあたしは、次の言葉を聞いて硬直した。