あなたが探偵?私が助手?




向井さん、貴方の事は忘れません。優しい方でした。アーメン。



「はい、所長さん。」



桐谷さんにコーヒーを渡す。



「サンキュ」


「ぁ、コレ、昨日2人が解決した事件で依頼人から頂くお金を計算しておきました。」



三十枚程の紙をホッチキスで留めた状態で桐谷さんに渡す。



「気が利くな。」


「仕事ですから。気が利くもなにも。」



謙遜してる訳ではなく、自分の性格上、しっかりこなさなければ納得がいかなかった。



2人が解決した事件も、大したことではなく、浮気調査やペット探し、ちょっと危ない麻薬の密売人を突き止めたりとか……



私も、浮気調査とかはここで一週間ぐらいバイトしてたら手伝わされた。



バイトがして良いのか、と桐谷さんに言ったら、



『俺が所長だ』
なんて言いやがった。この性悪男。



でも、少しでも危なくなれば、私を捜査から外したり、関わらせなかった。



けど、所長さん?浮気調査でラブホ街を桐谷さんと歩くの……



恥ずかしいよ?
女として、



桐谷さんを見ながら思った。



なんで探偵なんてやってるんだろぉ……



報告書や会計書を見ていた桐谷さんと目が合った。



え………?



ーどき…ん



ふと、私を見て、優しく笑った桐谷さん。1ヶ月、ここで働いて、桐谷さんは目が合うといつも優しく笑う。



その時、いつもいつも私は胸がきゅぅと、苦しくなる。



………?
なんだろぅ……






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