あなたが探偵?私が助手?




本来なら、浜野由佳里について、叶薫に話を聞くはずだった。



だが俺は、先に守村を優先した。



なんでだか分からない。



映像を見終わると、守村を部屋に運んだ。



事件の事より、守村を優先させてしまった俺は、探偵としてどーかと思ったが……



まぁ別にいいだろう。俺はまだ大学生だし、探偵として働く気もない。



事務所を開いたのは単なる暇つぶしだ。



けど、後で守村さんにからかわれるな。畜生、



「?もしも~し?聞いてんの、所長?」



反応しない俺に、守村は俺の顔の前で手を振っていた。



「あ、あぁ、聞いてる。別に後から直人とかに聞けばいいし、とゆーかお前に聞いたから。」



つい、顔をそらす。



「ふ~ん、ま、いーや。」



そう言った守村は、少し、悲しい表情をした。



「どうした?」


「ううん、所長、もっと聞くのかと思ってたから、由佳里の事。」


「あぁ…別に、お前も辛い事思い出したくないだろ。」



そう言った俺に、守村は一瞬、驚いた顔をしたが、次にはー…



「ありがとう」



そう言って、柔らかく微笑んだ。



初めて見た彼女の表情に、不思議と心がけが温かくなった。



だがそれと同時に、彼女はまだ何かを抱えているのではないかと、無性に不安になった。



その考えが、行動に出た。








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