あなたが探偵?私が助手?
「…所…長…?」
俺は、守村を抱き締めていた。
「どう、したんですか…?」
守村は、戸惑ってはいるが拒みはしなかった。
「別に、なんとなく」
馬鹿、
何言ってんだよ。俺は、
「なんとなくって……」
守村も戸惑ってる。
「お前、泣いたか?」
「え?」
顔を上げて俺を見る守村。
「浜野由佳里がいなくなった時、お前泣いたか?」
抱き締めたまま聞く。
「…ううん、泣いてない。私は泣いちゃいけないの。」
「何で?」
「由佳里が行方不明になったの、私のせいだから。」
「は?」
おもわず守村の顔を見る。
「どういう意味だ?」
「由佳里ね、週末は私の家に泊まる事になってたの。由佳里の両親、海外にいて、ストーカーの事危ないから、私の家に泊まらせてたの。」
守村は、それからポツリポツリと話した。
「由佳里がストーカーに狙われた頃からあの男と由佳里、ぎくしゃくしてたの。」
あの男、叶薫か。
「ストーカーは由佳里の携帯に非通知で電話掛けたり、ポストに由佳里の写真をたくさん入れたり、由佳里は精神的に追いつめられていったの。」
「そんな感じで、私はいつも相談に乗る事しかできなくて。警察にも行ったけど何も起こってないから捜査はできないって言われた。」
「だから週末は私の家に泊まらせてたんだけど、ある金曜日にね、由佳里から電話が来て、今日は1人で大丈夫だからって、私は心配だったけど、由佳里は大丈夫って言うから、私も納得したの。そしたら……」
守村がギュッと俺の服を握る。
腕の中の守村は震えていた。
泣けばいいのに。
お前は悪くない。