あなたが探偵？私が助手？

「お前、初めて俺に笑顔見せたな。」


「え？そう？」



無意識だったな。
笑ってたつもりだったんだけど……



「いや、笑ってたよ。けど、やっぱりどこか、心から笑ってないような気がして」



あぁ、
そういう事か。



この人には、
分かってしまうんだろうな。



いくら偽りの笑顔を向けても、この人には、本当の気持ちが分かってるんだ。



あの日、泣く事を止めた私に、優しい言葉をかけてくれて、泣いてもいいと、際限なく流れた涙と共に、そっと優しく抱き締めてくれたあなたは……



「私、桐谷さんの事、好きです。」



そう言った私に驚いたのか、目を見開く桐谷さん。



「人間として、その人の外見や性格とかじゃなくて、考えや過去とか、全てを受け入れてくれる桐谷さんは、スゴいです。だから私は、そんな桐谷さんが好きです。１人の人間として、尊敬します。」



私はそう言って笑った。



偽りではなく、あなたが受け入れてくれた、“守村清香”として、



素直に、
笑えたー……