溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
立て続けに聞かされる濠の大きな声。苛立ってるのがすぐにわかる。

「誰とって…玄太くんだよ。アマザンで食事した後迎えに来てくれて今送ってもらってるの」

『玄太…。今二人?車?』

「そうだけど…」

『ちっ…。有さんだな…。ま…タクシーに一人で乗せるよりいいか。
でも玄太かよ…』

ぶつぶつ言ってる濠は、大きく息をついて。

『玄太に婚約指輪ちゃんと見せとけよ。
で、余計な気起こすなって言っとけ。
わかったか?』

「あ…うん。…余計な気って?」

『…わからないならいい。聞かなくていいから』

…一体…どうしてこんな話になったわけ?
私と濠って、濠のお見合いの話してたよね…。
そう、お見合い。

「ねえ、濠のお見合いって…」

『んぁ?そんなのもう
どうでもいいし。
結局してないんだし、俺は透子と結婚するから』

「なっ…」

どうでもいいなんて。
投げやりに言い放つ濠の口調に悲しくなる。
私にとっては濠がお見合いするって事実は大きな衝撃で、それが後押しして濠との未来を色々考えたのに…。

『…また余計な事考えてるだろ。
何をどうしようが、俺は透子から離れる気はないから無駄に悩むな』

言い含めるような声。

「じゃ、どうしてお見合いなんて…」

泣きそうな声が思わず出てしまう。
ずっとずっと悩んでるのを隠しながら側にいたのに。
何だか我慢できなくて。

『見合いは…透子をもっと知りたかったから』

淡々と聞こえた濠の声に、電話越しに関わらず首を傾げてしまった…。
言ってる意味がわからない。
いつも自分の気持ちを
ストレートに話す濠。
長い間側にいたせいか大抵の事はすぐに理解できるけど、今の言葉は全く理解できない…。

「私を知るって…?」

あまりにも混乱してしまったせいか、思わず笑ってしまいそうになる。
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