溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
『無理にでも連れてくれば良かったよ。
離れるだけでもつらいってわかってるのに、透子を問い詰めるのが嫌で
全部保留にしたまま来てさ…。

格好つけずに…宿題なんかに頼らずに、透子に
全部吐かせてからくれば良かったよ』

一気に聞かされた言葉にどう答えていいのか…。
最初から最後まで、自嘲的に聞こえたけれど。
全部私を恋しがってくれてるのがわかるから、目の奥が次第に熱く潤んでくる。
そっと横を見ると、流れる街の景色も滲んでくる。

濠が抱えた悩みや不安…きっと私への不信感もあると思うけど…。

その想いを想像すると、涙が浮かんで胸が痛い。

「濠…ごめんね…。
ちゃんと言わなくて…
聞かなくて…。
一人でためこんで…」

『…本当…一人で何無駄な事してんだよ。
帰ったら全部吐かせて…鳴かせるからな。
…ベッドで』

くくって…笑ってる声が震えてるように聞こえるのは気のせいなんかじゃないはず。
見えない表情がもどかしい。
触れられない体温が欲しくてたまらない。

「行けば良かったよ…私もフランス行けば良かった。
仕事なんて…なんとでもなったはずなのに…」

小さな声で吐き出しながら、目を閉じて濠を思い出す…。

会いたいよ…。

「…早く帰ってきてよ。ちゃんとはめてるから…指輪つけてる私見てよ」

『…透子…』

「お見合い…してないんだよね?
信じていいんだよね?」

『…まだこだわってるのか?してないし、透子の事がなけりゃ受けてないし』

「それってどういう…
理解できない」

お見合いの理由が私だっていう事?
私が悲しむって思わなかったって事?

『帰ったらちゃんと話そう。土曜には帰るから
おとなしく…無駄な事で悩まずに待ってろ。
透子が望む未来はちゃんと俺がやるから』




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