溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
気持ちが高ぶって、胸がいっぱいで、濠の存在しか考えられない。
携帯を握り締めて、今唯一濠と繋がってる電波に集中していると。

「着いたんだけど?
バカップルの会話を一時ストップしてくれないか?」

ゆっくりと車は止まっていて、運転席から呆れ顔の玄太くんが私を見ていた。

「透子が泣いてるの初めて見た。
そんなに濠さんが好き?」

「え…?」

「もう、気持ちが揺らぐ可能性はないの?」

軽く口角を上げて笑ってるけど、落ち着いた声はどこか悲しげで、今までの玄太くんと違ってる。

「玄太くん…どうかした…?」

妙に緊張感が体を覆って私の体も無意識に玄太くんから距離をとってしまう。

『透子?どうしたんだ?
何かあったのか…玄太に何かされたのか?』

「ううん…何でもない…家に着いただけ…えっ?玄太くんっ…?」

ぐっと肩を引き寄せられてぱふっとたどりついたのは玄太くんの腕の中。
目の前には玄太くんの胸。

「ちょっと…玄太くん…どうし…」

慌てて離れようとする私を離さないように力が入って、身動きがとれない。

長い付き合いの中で、こんなに近づいたのは初めてで…玄太くんの気持ちがわからない…。

「そんなに濠さんが好き?」

「え…?」

そっと見上げると、暖かく優しい瞳が揺れていて
私だけを見ている。
美容師をしているせいか、見た目はかなり気をつけていて格好いい玄太くん。女の子にももてるし指名も多い。
長くは続かないみたいだけど、絶えず彼女がいるのも納得できる顔を間近に見て、ほんの少しときめいたりして…。

でも。
それでも。
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