溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「すごく好き。
濠の事、好き」

かみしめるように言う私の言葉に、一瞬苦しげに眉を寄せた玄太くんは、
私を抱く力をそっと緩めたかと思うと。

私の手から携帯を取り上げた。
はっと気付いて取り返そうとしたけれど、片手で私の体を抱きしめたままに。

「…聞こえたでしょ。
濠さんが好きなんだってさ。
なのに、何で見合いなんてしようとしてるわけ?

言っておくけど、俺と同じ気持ちの男どもはきっと透子の周りにもっといるし」

「玄太…ちょっと何言ってるの…携帯返してよ」

もがきながら、玄太から携帯を取り返そうとしても無駄で、相変わらず飄々と話し続けてる。
突然の事に、濠がどう思ってるのか…それが気になって心配。

「…付き合いの長さなら俺の方が勝ってるんだから…え?…透子だって気持ち揺れる事あるんだからな…。…わかってるよ俺に勝算はないって…でも、あんたの態度によっては俺は無理矢理にでも…」

激しく言い合ってたのに、突然じっと黙り込むと

「透子の幸せだ…それ以外には何も求めてない」

低い声で言い切る声。

「玄太…?」

ずっと親しく…というか、玄太が有二ぱぱの店に来て以来姉弟のようにつきあってきた玄太の初めて見る姿を目の当たりにして、ただでさえ混乱している私の気持ちは更にまとまる事なく…。
じっと、ただじっと玄太の胸に体を埋めて。

とくとくと、多分普段よりも早い玄太の鼓動だけを聞いて…。

どうしていいのかわからないまま動けずにいた。

携帯からは濠の大きな興奮した声が聞こえてるけど、どうしようもなくて…。

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