溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~



何も言わなかったのに、玄太くんが送ってくれたのは濠のマンション。

「濠さんが出張の時にはいつも濠さんの部屋に泊まってるって前言ってたろ?」

寂しそうに笑ってる玄太くんは、私を部屋の前まで送ってくれた。
今までも二人で過ごす時間はたくさんあったけど、こんなに緊張する時間を共有する事なんてなかった。

何かを言おうとしても、その度に言葉をのみこむ玄太くんが帰った後。
今日も…結局帰ってきた濠の部屋で、ぼんやりしながらソファーに体を預けて思いをはせる。

玄太くんと出会ったのはちょうど大学に入った頃。
私も玄太くんも高校を卒業してすぐで、そのせいか気が合って仲良くなるのに時間はかからなかった。
高校を一年留年している私。
当たり前だけど一つ年上。
その事を有二ぱぱから聞いた時、

『え?年下って思えても年上には見えない』

って本気で驚いていた…。
心臓の病気のせいだっていう事実も、とっくに体調は回復していた私の様子からは想像できなかったらしい。
それでも、定期的に受けていた検診の後それとなく有二ぱぱや母さんに結果を聞いて心配してくれてた優しい男。

有二ぱぱにしても母さんにしても、将来見込みのある少年というだけでなく私と年齢が近いせいでかなり気にかけていた。

成人式のスーツも、普段頑張ってるご褒美だと、母さんが用意してたっけ…。

もともと見た目の良かった玄太くんは、美容師を目指し始めてから更に格好よくなって絶えず彼女がいた。
趣味に一貫性がなくて、派手で化粧の上手い女の子もいれば、素朴で清純そうなかわいい女の子もいたり。
何人か偶然に会ったけど、その度に違う雰囲気の女の子が側にいて。

玄太くんの恋愛がよくわからなかった。
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