溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~



笑顔が似合う人ってこんな人の事を言うんだろうな。

小山内弥恵さん…。

何度か会ったけれど、その時はいつも父…小山内竜臣の四十九日法要や納骨の時とか…集まるべくして集まった親戚の中の一人として…。

実の娘だという事でかなり気を遣わせてしまうのが申し訳なくて、法要が終わるとすぐに帰る私。

弥恵さんと待ち合わせをして二人で会うのは初めてで、会うまでは緊張感に溢れていた。

でも、いつも優しく笑顔を浮かべている弥恵さんを目の前にすると、自然と私の気持ちも緩んでくるのがわかる。

「突然ごめんね。今忙しいってわかってるんだけどね…」

小さく肩をすくめると、ほんわかとした雰囲気の笑顔でじっと見つめられる。
多分50代後半だと思うけれど、まだ少女みたいにはにかんだりする仕種はかわいくて。

髪を茶色のボブにして揺らすのも似合っている。
誰もが振り向く美人というわけじゃないのに、誰もが嫌いになれないだろう雰囲気の人…。

私も…嫌いじゃない。

「こないだ濠くんから連絡もらった時は驚いたわ」

くすくす笑いながら思い出す弥恵さんを、思わず止まりそうになる呼吸の中で何とか見つめたまま。
私は次の言葉を待った。
何となく予想していたとはいえ、ダイレクトに聞くとびっくりしてしまう。

「えっと…濠から連絡ってどうして…前から知り合いだったんですか?」

「まさか。透子ちゃんとでさえお話できるようになって間がないのに、恋人から直接連絡がきて驚く以外に何もないわよ」

「…そうですよね」

なんだか訳がわからない出来事がまた…私を悩ます。
どうして濠は弥恵さんに連絡したんだろ…。
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