溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
濠と再会して付き合い始めた時、

『勝手に俺の娘連れていくなよー』

と酔っ払って濠に絡んだり、突然泣き出したり。
母さんが呆れるほどに不安定になったりもしたけれど、それから10年近く経ち濠とも親しく、まるで親子のような関係に発展した。

下町の商店街で花屋さんをやっている濠の両親とも仲良くしてくれていて有二ぱぱの美容院に行くと、まだまだ若い濠のお母さんが若いスタイリストにいろいろ注文をつけながら髪をセットしてもらったりしてる場面に出くわしたり。

『もう少し赤みを抑えたブラウンがいいの。
そうね、今日の気分は理人くんにお願いするわ』

…ホストクラブじゃないんだから…指名はやめて欲しい…。

苦笑する有二ぱぱにはおかまいなしに自由に楽しんでる濠のお母さん。

私にも気軽に接してくれるし、もう嫁としてみてくれてる感じもあって…。

改めて考えると、私ってかなり幸せな状況で過ごしているんだな…。

有二ぱぱにしても、私を必要異常に愛して愛して。
その想いをちゃんと言葉と態度で伝えてくれる。
たまに煩わしいと感じる時もあったけど…それは実の親子になら当たり前の感情だから。
煩わしいって素直に認められた時は妙に嬉しかった。

「濠くんと有二さんからたくさんの思い出を聞かされて、本当に透子ちゃんは幸せに育ってきたんだなって安心したの」

ほっと息をついている弥恵さんの瞳はどこか遠くを見ているような、何かを思い出してるように…微かな笑みを口元に漂わせていた。

初めて会った時から半年くらいの間に何度かこんな表情を見た事がある。
会話の合間に意識が遠くに行ってるように軽やかな笑いを浮かべていて。
まるで高校生じゃないかとも錯覚しそうに夢見てるみたいな。
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