溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
気持ちが溢れて整理のつかない私は、父にお線香をあげに行く事すらできないままでいたけれど、
母さんはあっさりと

『私はお通夜もお葬式にも参列したわよ』

と言って有二ぱぱと共にいろんな事を話してくれた。

実際、母さんの性格についてはそれなりに理解してるつもりだったけれど、話を聞くにつれて私が思ってた以上に強くて頑固な人だってわかった。
そして、実の父である
小山内竜臣の事も大切に思ってた…。



母さんが父と結婚したのは単純に私を妊娠したから。
友人だった父とどうしてそんな関係になったかは詳しく話してくれないからよくわからない。

聞きたい気持ちはあるけれど、母さんにしても辛い思い出も交じるようでなかなか深く聞き出す事ができない。

『小山内くんとは同級生で、二人とも好きな人に裏切られた反動でヤっちゃって』

ははっと笑ってごまかされるだけ。

愛し合ってたわけじゃないとはっきりと言う母さんの正直さが私にはつらかった。

妊娠がわかった母さんは、一人で育てるから認知だけをして欲しいと父に言ったらしい。
生まれつきの楽天的な性格と、大手の企業で働いていた自信がそんな決意を導いたと思うけれど。

『結婚して一緒に子供を育てよう』

父は頑なに結婚を望み、母はその固い気持ちに折れる形で結婚を受け入れた。

どうにか一緒に暮らし始めた二人に友情はあっても、夫婦としての絆を育む愛情はなくて…

当たり前のように二人に距離が生まれて。

私が産まれてしばらくしてから離婚。

『嫌いになったんじゃない。初めから愛してなかったの』

軽く笑って、それが何ともないようにさらっと言う母の本音はわからないけど、父を憎んだり嫌ったりはしていない事はわかった。

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