溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
そして、夜の静けさの中で、サイドテーブルの照明に照らされている
『婚姻届』
照明の光以上に輝いて見えるのは、私の喜びが反映されてるからかな…。

完全に記入が終わっていて、後は役所に届け出るだけ。
いつからか、女の子なら結婚を夢見るもので、婚姻届という契約書に愛する人と共に歩む未来にサインをする事に憧れる。
私だって例外ではなく、濠の側で過ごすようになってからは幾度となく憧れていた。

もちろん相手は濠しか考えられなかった。

そして、実際に私と濠がサインした婚姻届を目の前にして、ようやく濠のものになれた自分を感じて嬉しい。

濠だって私のもの…なのかな…?

まだ実感はないけれど、
見えない距離が縮まった幸せを感じてしまう。

濠がどんな気持ちでサインをしたのか想像すると照れてしまったりもする。

私に何も言わずに全てを整えて出張に行くまでに少なくない葛藤があったと思うと、申し訳なさと切なさと。

今まで以上に愛しさが生まれてくる。

私を一番大切に考えてくれているから、その想いが伝わってくるから…。

最高潮に愛しくて会いたくてたまらない。

婚姻届の保証人の欄には弥恵さんが嬉しそうにサインしてくれた。

『透子ちゃんの人生の輪の中に入れてもらえて
嬉しいわ』

涙ぐむ声は幸せそうで、私への感謝と優しさで満ちていた。
父が亡くなってから、一人であらゆる手続きや処理をしながら寂しさに向き合ってきた弥恵さん。
子供がいないから、これからも一人で暮らしていくと笑っているけれど、長い間父への想いだけで生きていた弥恵さんには焦燥感も感じられて。

そんな弥恵さんを訪ねて

『透子の人生に加わって下さい』

と頭を下げてくれた濠と有二ぱぱには感謝しか浮かばない。
< 162 / 341 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop