溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~



記者会見の後は、近くの和食屋さんで食事会があった。

受賞者はもちろん、建築関係の有名人がかなり大勢出席している様は圧巻で、これまで作品に感銘を受けた憧れの人の近くで夢心地。

自分の仕事をしっかりと仕上げるだけで十分幸せに思えていたけれど、こうして名の知られた人達と同じ空間にいると…。

ほんの少し欲が顔を出す。
私にも、憧れてもらえる作品を作る事ができるかも…なんて。

これまでになかった感情が沸いてきて不思議。

多分、今隣でビールを飲んでる吉井さんの影響もあると思う。

私より二歳年上。
あ、濠と同い年。
五年前に大賞を受賞して以来、大きな仕事を幾つもこなして、全てが高い評価を得ている。

どう見ても整った顔からも人気に火がついて、雑誌の特集も組まれたり、テレビ番組の密着なんかも放送されたり。

私だってよく名前を聞く有名人。
そんな有名人が隣で飲んでいる。
お座敷に並んで始まった宴会も、既に終盤。
巷で名前と顔が知られているお偉い先生方も酔いが回っている。

「お酒、飲めるんだな」

「え…!あ、はい。
付き合い程度には。
まぁ、もうすぐ三十路だから…そこそこ強くもなります」

軽く笑いながら答える私に、じゃあ、とビールを注ぐ吉井さん。

プレゼンテーターとして授賞式に参加しているにも関わらず、受賞者達よりも記者からの注目を浴びていたように思える。

やっぱり実績と…この男前の顔だから…かな。

私だって、かなり意識してしまう。
才能溢れる若手の建築家。おまけに見た目もモデルばりで。
細身の黒いスーツを着て、グラスを片手に微笑む姿が隣に座ってる。

濠が知ったらいい気分じゃないだろうけれど…。

ふふっ。

婚姻届に記入したせいか余裕がある自分に笑ってしまう。
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