溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「吉井さんは、私が娘だって知ってたんですよね…」
「あ?…まぁな。何度か小山内さんの事務所に行くうちにな…。
小山内さんも弥恵さんも何かと透子を気にかけてたし」
懐かしむような声音が私に染み入る。
父や弥恵さんがずっと私の存在を気にしてたって。
自分の知らない所で、自分を想い、心を砕いてくれていた過去に申し訳なくなる。
同じ頃、私は私自身の生活のみに気持ちを向けていたはず。
「どうして、私に会いに来てくれなかったんだろ…。
あ、すみません。
吉井さんにわかるわけないですね…」
「いや。わかるよ。
自分の存在を意識させない方が、透子の人生は楽なものになるって言ってたから。
新しいお父さんがいて、穏やかに暮らしてるのに敢えて波風立てたくないってさ。
透子が笑ってるなら会いたくても我慢できる。
そんな感じだ…。
幸せだな、透子」
「透子って…」
思わず反応してしまった。
濠以外の男の人に、
『透子』って呼び捨てにされる事ってあまりない。会社の同僚とかを別にすると、殆どいないから。
何だか妙に恥ずかしい。
「悪い。小山内さん達がそう呼んでたからつい。
呼び捨てにするほどに俺は透子の事聞かされてたからな。
…ま、彼氏もいるし。
口説かないけど呼び方は別にいいだろ?
な、透子」
わざとらしく笑ってるのがわかる。
口説かないなんて、まるで口説いてるような台詞。
「…吉井さん、慣れてますね。今まで何人泣かせたんですか?」
呆れたため息と共に聞く私は、目の前のグラスに手を伸ばしてビールを少し口にした。
「ん…?泣かされてるのはいつも俺だけど?」
「嘘ですね。マスコミでもよく女の人の話題が出てるし。
火のない所には…
ですよ」
ふふっと笑いながら。
何気なく吉井さんを見ると。
「…本当なんだけどな。
泣いてるのは俺だ…」
ぼんやりと呟く吉井さん。
低い声の呟きは、嘘っぽさなんてまるでなくて、心の内が思わず出てしまったようで、私はただ黙ってしまった。
「あ?…まぁな。何度か小山内さんの事務所に行くうちにな…。
小山内さんも弥恵さんも何かと透子を気にかけてたし」
懐かしむような声音が私に染み入る。
父や弥恵さんがずっと私の存在を気にしてたって。
自分の知らない所で、自分を想い、心を砕いてくれていた過去に申し訳なくなる。
同じ頃、私は私自身の生活のみに気持ちを向けていたはず。
「どうして、私に会いに来てくれなかったんだろ…。
あ、すみません。
吉井さんにわかるわけないですね…」
「いや。わかるよ。
自分の存在を意識させない方が、透子の人生は楽なものになるって言ってたから。
新しいお父さんがいて、穏やかに暮らしてるのに敢えて波風立てたくないってさ。
透子が笑ってるなら会いたくても我慢できる。
そんな感じだ…。
幸せだな、透子」
「透子って…」
思わず反応してしまった。
濠以外の男の人に、
『透子』って呼び捨てにされる事ってあまりない。会社の同僚とかを別にすると、殆どいないから。
何だか妙に恥ずかしい。
「悪い。小山内さん達がそう呼んでたからつい。
呼び捨てにするほどに俺は透子の事聞かされてたからな。
…ま、彼氏もいるし。
口説かないけど呼び方は別にいいだろ?
な、透子」
わざとらしく笑ってるのがわかる。
口説かないなんて、まるで口説いてるような台詞。
「…吉井さん、慣れてますね。今まで何人泣かせたんですか?」
呆れたため息と共に聞く私は、目の前のグラスに手を伸ばしてビールを少し口にした。
「ん…?泣かされてるのはいつも俺だけど?」
「嘘ですね。マスコミでもよく女の人の話題が出てるし。
火のない所には…
ですよ」
ふふっと笑いながら。
何気なく吉井さんを見ると。
「…本当なんだけどな。
泣いてるのは俺だ…」
ぼんやりと呟く吉井さん。
低い声の呟きは、嘘っぽさなんてまるでなくて、心の内が思わず出てしまったようで、私はただ黙ってしまった。