溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~



なかなか自分の思い通りに物事は運ばないっていうのは、心臓に欠陥があるとわかった小さな頃から何度も受け止めてきた。

学校も休みがちで、体育の授業も見学。
修学旅行や学校行事にもほとんど参加できない学生時代を過ごしてきた。

周りに迷惑をかけたり、不調な体調をがまんしたりするよりは、何もかも無理せずに諦めようって無意識に。

手に入れる喜びよりも、手放す身軽さを選んで。

思い通りにいかない人生は私には当たり前だった。

気付けば、自分の本音や感情を表現する事を放棄して、自分の内側の一定の場所だけで生きる人形のような私。

それが15才で濠に出会うまでの私。

頑なに自分の心臓を動かす為だけに生きていた。

あの頃から自分の思い通りにいかない状況には慣れていたはずなのに。

…今回ばかりは。

どうして世界は私の為に動いてくれないかとひねくれてしまう…。

明日は濠が帰って来るという金曜日の午後。

空港に迎えに行ったら驚くかなぁ…。
喜ぶかなぁと浮足立つ気持ちを隠しながら図面をひいている私に。

『織田、ちょっと』

深刻な顔をした相模さんに呼ばれた。
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