溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
戸惑いながらそう呟くけど。

「…全部本当の事ですよ。本社に異動が決まって公表された時の反応は凄かったし…。

で、今日の飲み会には必ず、だましてでも連れてこいって言われてるんで…。
是非、お願いします」

「…って言われてもなぁ…」

飲みに誘ってもらったのは嬉しいけど、何だか信じられない事ばかりを聞かされて。
すんなりと頷けない。

私を気に入ってくれる人がいてるなんて想像もしてなかったし、ましてや昴が私の事を綺麗なんて言う事自体信じられない言葉。

そりゃ…言われて悪い気はしないけれど、言われ慣れてないから…反応の仕方がわからない。

「彩香も楽しみにしてるんで…無理ですか?」

少し不安そうに聞いてくる昴に、どうしようかと首を傾げて考えていると。

「飲み会はだめだな」

「え?」

私の背後から低い声が聞こえた。
はっと振り返ると、渋い顔で私と昴を見下ろす相模さん。
心なしか慌てているようにも感じる。

「さっきも話しただろ?
しばらくはおとなしくして目立つ事はだめだ」

ゆっくりと言い聞かせるような言葉に、何も言葉が出ない。

隣の昴は、突然聞かされた言葉の意味がわからないようで、じっと相模さんを見ている。

「目立つ事って…ただの飲み会ですけど…」

「昴達にはただの飲み会でも、透子ちゃんのネタを探すマスコミにはいい材料だ。
酔っ払った姿を撮られてみろ…大賞とって天狗になってるとか書かれて、仕事に影響が出るだろ」

落ち着いて、私と昴に語る相模さんは仕事の時に見せるよりももっと真剣で、反論できない強さを感じる。

「…私が…天狗…ですか」

「いや…俺から見れば、少しは天狗になって、自信もって仕事して欲しいくらいだけど、な。

マスコミの悪意や作り話はすごいから、今は大人しくしておけ。

ただでさえ、明日の記事で透子ちゃんのこれからの建築士としての将来に影響が出そうなんだから…」
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