溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「心臓は…今は大丈夫です。生活にも仕事にも影響はありません。

15歳の時の話です。
もう15年も前の話なので…心配しなくて大丈夫です」

私の体を気遣うように揺れる瞳は、昴も同じ光をたたえていて、慣れない空気に居心地が悪くなってしまう。

苦笑しながら二人の間で戸惑っていると。

「じゃ、今日の飲み会には来て下さいよ」

軽い口調で昴が言った。
にっこり笑う表情はやけに明るくて、相模さんがさっき言った事をまるで無視するかのように感じてしまう。

「昴、俺の言った意味わかってるのか?
今はマスコミに騒がれやすいからおとなしくしてろって言ってるんだ」

低い相模さんの声が昴を責める。
昴を普段から可愛がっている相模さんにしては少し厳しい口調に、私が思わず緊張する。

「飲み会くらいで右往左往してたら、もうすぐ結婚なのに乗り越えられないですよ。
マスコミだってばかじゃないんだし、普通に会社の飲み会に行くくらいで騒がないでしょ」

小さくため息をついて。

まるで私よりも年上みたいにそう言ってくれる昴を見上げて…妙に照れてしまう。
新入社員研修で担当した当時からしっかりしてたけど、今はかなり頼りになる。

それでも、カリスマ相模さんに対して目の前で反論するなんて、意外…。

怒ってるんじゃないかと…少しためらいながら相模さんを見ると、厳しい顔で昴を見ていた…けれど。
くくっと小さな笑い声で肩を揺らして目を細めた。

「…昴ならそう言うと思ったよ。
…まぁ、多少マスコミを意識しながら育ってきたしな。
対処の仕方や気持ちの持ち方も知ってるだろうし…。
透子ちゃんに…そのノウハウを教えてやってくれ」

諦めつつの様子がありありとわかる言葉に、同じように肩を竦める昴。

二人にしかわからない目のやりとりを見ながら、希薄でない二人の関係に気付いた。
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