溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「というわけだから、透子さん。

今日は飲み会参加って事で。
隠れファンの多い透子さんが来てテンション上がりますよ」

爽やかに笑う昴は、かなり満足げに頷いている。
彼の気持ちの中では既に私は参加する事が決定事項になってるみたいだけど…。

「ごめん。今日は無理」

あっさりと断った。

「え…?無理って…」

「本当にごめん。今晩はやめとく。…また今度誘って」

「大丈夫ですよ。マスコミなんて気にしなくても。単なる会社の飲み会だし、神経質にならなくても」

慌てて私を説得しようとする昴の目は何故か必死に見える。
普段から飄々とした様子を崩さないのに、その慌てた態度に違和感を感じる。

「別に飲み会は今日だけじゃないし、また次の機会にでも誘ってよ」

「え…。次って…。
それは無理で…今日来てもらわないと…」

「…?どうしたの?
昴がそんなに焦るなんておかしいね。
何かあるの?」

「何もないんですけど…。ただみんな…みんなが透子さんを待ってるっていうか…」

落ち着いて話そうとする昴だけど、口調には焦りが感じられるし私をまともに見てくれないから…。

「…嘘。何かある?」

くすくす笑ってしまう。
女の子達を夢中にさせる整った昴の顔が真っ赤になってるのが珍しくて思わずからかいたくなる。

「昴のそんな顔見てしまって得した気分だけど、やっぱり今日は行けない。マスコミがどうとかじゃなくて、今日は早く帰りたいんだ」

私の顔も少し赤くなってるかもしれない。
…ふふっ…。

「どうした?」

相模さんがそんな私に気付いたらしい。

「明日、濠が帰ってくるんです。
午前着の便で帰ってくるので早起きして迎えに行くつもりだから…」

そこまで言って、視線を
昴に向ける。
心なしか、泣きそうになってるような昴に気付いて戸惑ってしまうけど。
今日はやっぱり無理だから。

「ごめんね。誘ってもらって嬉しいけど、みんなには謝っておいてね」

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