溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
私の気持ちはとっくに明日帰ってくる濠にのみ向かっていて、正直なところ仕事にだって集中できずにいる。

さっきまで加わっていた打ち合わせの最中にも、明日何着て行こうとか濠の好きな料理をいろいろ考えてしまったり…。
周りから私のにやけた表情を変に見られていないかって何度も顔をひきしめたり…。

ここ数日濠からの電話もなかったせいで、私は既に濠が足りなくて足りなくて。

一刻も早く濠に会いたい。

空港に迎えに行くのが待ち遠しくて仕方ないから。

久しぶりに会う私を少しでも綺麗に見せたいし、ぎゅっと抱きしめて欲しいから、とにかく今晩は明日に備える為に早く帰るって決めてる。

ゆっくりとお風呂に入って肌の手入れも怠りなく。
睡眠だってたっぷりと。

そして、ちょっぴりでも綺麗な私に仕上げて明日を迎えたい。

「昴の同期達ならいつでも誘ってね。
みんな親しくしてくれるいい子達だもんね」

と言った私は、その話題はもう終わったと納得して。相模さんにも軽く頷いた後、図面を広げていると…。

「…無理。今日来てもらわないと無理。今日じゃなきゃ無理。
絶対に来てもらいます」

「…は?」

それまで穏やかに会話をしていたはずの昴の声はガラッと変わっている。
見上げた先にある顔には何も反論は受付けないと でもいうような強い光があって。

「どう言い訳しようが連れて行くんで」

「な…何言ってるのよ。
今晩はだめって…」

「だめって言ってもだめです。たとえ10分だけでも来てもらいますから。絶対にっ」

ああ…この顔が女の子達には麻薬のように作用するんだろうな。
無駄に整い過ぎた顔のせいで必要以上に女の子からの注目と好意を浴びるんだろう…けど。

「そんな顔で私の気持ちは変わらないから。
男前な顔は彩香ちゃんにだけ見せなさい。
とにかく今日は…」

無理って言おうとしたけど、私の言葉に被さるように

「…遅くはならないから…とにかく来ないと…。
透子さん来なきゃ…。

何があっても連れて行くんで。

定時後すぐに行きますからね」

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