溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
愛する人の想い
①
昴の言葉に嘘はなくて、定時後そっと帰ろうとして更衣室に向かう私の前には。
「一緒に行きましょう。…きっとすぐに終わりますよ。…ふふっ」
にっこりと笑った彩香ちゃん。既に私服に着替えて完璧な可愛さ。
結婚式が近いせいか髪も伸びているし幸せそうに肌も輝いてる。
密かにファンが多いと聞く彼女の左手には婚約指輪も光っているし…。
久々に会った彩香ちゃんに、私の心も穏やかになる。
「…あれ?彩香ちゃんって営業部にいるんじゃなかった?」
「はい。今日はこっちで飲み会っていうか…私たちのお祝いをしてもらえるんで…早目に仕事終わらせてもらえたんです」
ほんのり赤い頬が、嬉しさをそのままに表してる。
昴と彩香ちゃんがねぇ…。
二人の仲を聞いた時には昴のこれまでの噂やらが浮かんできて信じられなかったけど、最近の昴の落ち着きや満足げな様子を見る度に、二人がしっくりといくように思えるから不思議。
二人がどんな成り行きで結婚までの道筋をつけてきたのかはわからないけれど、幸せになるんだろうなと思える…。
「…あ、もしかして昴が私を連れて来いとか言ったの?」
ふと思いついてそう言った。
彩香ちゃんは小さく肩を竦めて。
「もちろん、昴にも言われましたけど…。
私も同じ気持ちだから。
逃がしませんよ。
飲み会には絶対に連れて行きますよ」
「…なんで…そんなに私にこだわるの?」
そこまで飲み会に私を連れて行こうとする理由がわからない。
確かに昴や彩香ちゃんの同期連中とは新人研修時代から関わりは深いし、今でも仲良くやってるけど…。
ここまで私にこだわる理由って何…?
「なんででしょうねー。
透子さんが飲み会に来てくれればきっとわかりますよ」
含みのある声でにこやかに笑う彩香ちゃんは、ちらっと腕時計を見て
「ほら、早くしないとみんな待ってますよ」
更衣室の中へと私の背中を押し込むと
「一緒に行きましょうね」
更衣室の扉を閉めながら
くすくす笑う声…。
はぁ…。
行かなきゃだめみたいだな…。
濠のために時間を使いたかったな…。
ふうっと、諦めのため息をついた。