溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~



会社から歩いて5分くらいの居酒屋にみんな集まっていた。
昴や彩香ちゃんの同期達で本社や周辺の営業部にいる30人ほど。

「…透子さんっ」

貸し切りになっているらしい座敷に入った途端に聞こえた叫び声に顔を向けると、既に来ていた昴が立って手招きしていた。

今日の主役らしく上座に陣取っている昴は、黒い細身のスーツが似合っていて会社の女子からの人気もわかる気がする。
長身に整った顔はモデルのようだし、実家は有名な会社を経営していて。
そんな昴を狙う女の子はかなりいたって聞くけど、彼の心を掴んでるのは彩香ちゃんただ一人。

今も私の側にいる彩香ちゃんに甘くとろける視線を送ってるし。

どちらかといえば淡泊な表情と波のない感情をまとった昴を変えた彩香ちゃんには、かなりの魅力があったのかな。

昴がめろめろになった顔を隠そうともしない様子が面白いし新鮮だし。

…ほんと、格好いい。

ふわふわと幸せな気持ちのまま昴の隣にとりあえず座ってみる。
上座っていうのが抵抗あるけれど、わざわざ私のために空けておいてくれたらしい席のようだからとりあえず乾杯くらいはここで。

昴の反対隣にはもちろん彩香ちゃんが座ってる。
二人寄り添いながら並ぶ姿はとても自然で幸せに見える。
彩香ちゃんの背中に軽く手を置く昴。
まるで誰にも渡さないってアピールするかのようで、私のほうが照れて目をそらしてしまう。

あーぁ。

羨ましいな…。

濠に会いたいな…。

同じように私を優しく見つめて欲しい。
ぎゅっと抱きしめて欲しい…。

明日にならないと会えない愛しい人は今は機上の人…?

私に向かって帰って来てる最中なのかな。
私をこの一週間宿題という強い想いで縛った濠の体温が恋しいよ…。

昴と彩香ちゃんみたいに今すぐに会いたい。
抱きしめたい。
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