溺愛結婚!?～7つの甘いレッスン～
そんな流れの中で一緒に話題にのぼる機会が増えたせいなのかはわからないけれど、大賞授賞式でのプレゼンテーターに仁科さんが指名されたと聞いたのは一週間ほど前。
仕事の合間に相模さんが教えてくれた。
去年までは建築協会理事の相模さんが務めていたから今年もそうだと安心していたのに。

『世代交代か？』

と苦笑しながらの言葉はどこか面白がっている感じがしてならなかった。

相模さんも、奥様のお兄さんにあたる仁科さんとは親しくて、親子二代受賞の話題については思うところもあるらしい。
仁科夫妻がかなり有名だという事もあるし、建築家としての小山内竜臣に対しての憧れ。

私が小山内竜臣の娘だという事を内緒にしていたのが気に入らないのか、マスコミの騒ぎには軽く笑っているだけで何をしてくれるわけでもないけれど。

そんな中で迎えた今日。

いよいよの授賞式。
会場となっているホテル側の責任者として濠が仕切る式には建築家として名高い先生達。

審査員もしている先生方は、慣れたように会場入りして各々の控え室に。

『真田透子です。本日は大変名誉な賞をありがとうございます』

相模さんに連れられて、挨拶にまわった。
学生時代から目標としている人や尊敬している著名な雲の上の存在とも言える建築家の方々を目の前にして、声が震えるのはどうしようもなかった。

相模さんという後光輝く有名な人と一緒に仕事をしているのにも関わらず、やっぱり私も浮足立ってる…。

そんな軽いミーハー気分で挨拶しながらまわっていると、廊下の向こうから

「相模さん」

と声が聞こえた。
立ち止まって振り返ると、長身の男性が私達に向かって歩いて来た。

上質だと一目でわかるスーツに身を包んだ涼しげな目元の男前…。

あ。

仁科透さん。
直接話した事はないけれど、イベント等で何度か見かけた事がある。
作品にも感動させられることしばしば。
生まれつきの才能なんだろうけど、私には追いつくなんてできないだろう人。
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