溺愛結婚!?~7つの甘いレッスン~
「良かった…。

父が幸せで良かった」

私の為に人生を変えて、思うように楽しめなかっただろう父の晩年を思うと切ないし、今でも後悔する自分を変える事はできないけれど。

それでも、私の父としての自分自身を受け止めて私がこの世に生まれた事を喜んでくれていたのなら、私の罪悪感も少し軽くしてもいいのかな…。

私が父に負わせた苦しみゃ寂しさが許されるのかはわからないけれど…ほんの少し…穏やかな気持ちに切り替えてもいいような気がする…。

「仁科さん…ありがとうございました。

父に会えなかったのは残念だけど…。
この竜に会わせてもらえて…感謝しています」

頭を下げて、お礼を言いながら…心が軽くなっているのを感じる。

目が合うと、穏やかな仁科さんの様子が更に私をホッとさせてくれる…。

「俺も葵も、肩の荷がおりたよ。
小山内さんの遺した気持ちを伝えられて…」

明るい日差しに透ける中で輝く竜達を二人で見上げながら、その光の向こう側にいる父に想いを馳せた。

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